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岩崎和子

ID: KazukoIwasaki

第8回みんなの美術展応募作品から

第8回みんなの美術展応募作品から注目した作品、気に入った作品を選びました。

張子 "金魚"

田中佑佳

ガラスの水に並ぶ張り子の金魚。素朴で簡潔な赤と青。気持が和らいで、この周りの空間まで想像させる。きっと年代問わず誰をもノスタルジック気分に引込むでしょう。今時のおしゃれ発想。和む。

水の呼吸

項名雯

明るくて、清らかで、ちょっとざわめきながらも、小さくせせらぎ流れていく音が聞こえてくるのが良い。圧迫感がなく・・安らぐ。

pollution

佐藤ツクル

森の命のうごめき、慟哭のよう。「ギルガメッシュ神話」の森の王フンババの怒りを思い出させる。森は生きている。古代から文明と大自然との戦いは続くね。

月夜に踊る

勝伸子/Nobuko Katsu

薄紙の透明感とは全く違う迫力で埋め尽くされた画面。紙の質感が表せたらもっと迫力だろうが、プリントで凸が凹になった感覚で明暗が際立ち、夜の花壇の怪しさが増す不思議。花の命が技法の中で続いているのが良いなあと。

ベタとダリア

TEAM紙蔵(ペパクラ)

熱帯魚ペタの華麗さと身体をくねる一瞬の優雅さを、花に見立てた立体アートの豪華さ。フレームからはみ出す躍動感と迫力。美しく見飽きない。

にょきり!

平松 依里子

生き生きと力強く明るく、キッパリと吹っ切れたような清々しさに桜がよく似合っています。見る者も元気が出ます。この絵を見てから一日を始めたいような気分。

海の未知なる生物

mon

流木・小石・シーグラス。よく見る組合わせですが、ふと微笑んでしまう。素材に命が吹き込まれ、そこに生きた空間や時間が存在し、フレームの向こうとこちらが繋がっているようです。段ボールの海、砂浜?素材の生かし方が上手。作り手の柔らかい感性を感じます。 

浮かび上がる芳藤の手法ー寄せ絵【五拾三次之内猫之怪】の立体化ー

浅倉

平面から立体を回転させ、認識構築する能力凄いです。 猫の表情も姿も、気迫があり 見入ります。 楽しいです。 好きです。

vacances

上田実加

一杯の珈琲に誘われるしばしの空想バカンス。そんな楽しみに今まで気付くこともなかったけれど。こんな時間も良いなあと思わせる。おっとりゆったり、マイペースに思える作風に何となく惹かれる。

シマエナガ

小笠原真澄

デジタル絵画にありがちな実体感の無さを、物語世界の表現にうまく置き換えていると感心。
シマエナガへの気持を、光るぼかしと眼差しや情緒的な髪で、とても効果的に物語っている。線の太さや手の表情も、切り絵や版画絵本を思わせて、人を引きつける要素になっていると思う。

正木俊行

遠い山里から真っ直ぐに延びる道が、象徴的な思いを呼び起こさせる。坂道を上って来る自転車。少し年配らしいが、坂を漕いで上って来る、律儀に左側を。もう少しで、涼しい木陰。どこへ行くのか帰るのか、絵の中の静かなドラマ。

醒蓮(せいれん)

山口雅孝

紙と光と陰が一体となって、睡蓮らしさを良く生かした美しい作品。折り方もシャープなのに優しく優雅で、柔らかい陰影が美しい。強い陰を作らない設計に感服です。水面を意識した、光が映り込む床の材質の選び方も素敵です。